御前原城
ごぜんばらじょう

(栃木県矢板市)
最終更新日:2013.3.30

地図

<2013.3.30記>
栃木県矢板市の国道4号線沿いに、大きな大きなシャープの工場があります。その大きな大きな工場のほぼど真ん中に、堀と土塁で囲まれた四角い空間が残されています。
それがこの、御前原城。
シャープがこの地を買い上げて工場を建設する際に、御前原城の本丸に相当するこの場所だけは破壊せず、旧状のまま残したのだとか。地元の発展のために二の丸以下は工場の敷地へと姿を変えていきましたが、本丸だけきっちりと保存してくれたことは、当時のシャープ関係者の見識の高さというのか、粋な計らいというのか。
巨大資本のシャープに破壊され、一方でシャープに守られた御前原城ですが、一転してシャープという会社自体が未曾有の危機にあると言われています。栄枯盛衰は世の習いといいながら、御前原城の堀から見た落日には、一段と寂寥の感が募ります。
Data
ランク -
土塁、堀
創築:正和4(1315)年、塩谷頼安?
塩谷氏
塩谷(しおのや)氏のお城です。塩谷氏はこの地にあった塩谷荘を治めた氏族で、元をただせば源氏の一族ということになるようです。鎌倉時代からその名が知られ、他の多くの下野の氏族がそうであるように、延々とこの地で血脈を受けついでいきます。小田原の役の後も一族が塩谷氏を名乗り、少なくとも江戸時代の正保年間まで、旗本としてその名を伝えていきました。
御前原城は、南北朝時代の正和年間に、塩谷頼安なる人物によって築かれたという言い伝えがあります。その真偽はさておきとして、かなり古い時代から塩谷氏によって築かれたお城であるというのは間違いのないところでしょう。かつては方形の本丸を囲んで二の丸、三の丸の土塁や堀も残されていましたが、昭和になってシャープの工場敷地となり、二の丸以下は工場によって跡形もなく消滅しました。一方、中世武士居館の面影を残す方形の本丸だけは綺麗に整備され、現代に伝わることとなりました。





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