<2013.3.30記>
栃木県矢板市の国道4号線沿いに、大きな大きなシャープの工場があります。その大きな大きな工場のほぼど真ん中に、堀と土塁で囲まれた四角い空間が残されています。
それがこの、御前原城。
シャープがこの地を買い上げて工場を建設する際に、御前原城の本丸に相当するこの場所だけは破壊せず、旧状のまま残したのだとか。地元の発展のために二の丸以下は工場の敷地へと姿を変えていきましたが、本丸だけきっちりと保存してくれたことは、当時のシャープ関係者の見識の高さというのか、粋な計らいというのか。
巨大資本のシャープに破壊され、一方でシャープに守られた御前原城ですが、一転してシャープという会社自体が未曾有の危機にあると言われています。栄枯盛衰は世の習いといいながら、御前原城の堀から見た落日には、一段と寂寥の感が募ります。
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