彦根城
ひこねじょう



所在地:滋賀県彦根市金亀町
最終更新日:2020.5.8

関ヶ原の戦いの後、井伊直政に佐和山城が与えられましたが、直政の死後ほどなく天下普請により全く新しい城が築かれました(完成は元和8(1622」)年)。近江にあったいろんなお城の部材を意図的に組み込んだと言われ、天守は大津城から、三重櫓は小谷城から、佐和口櫓は佐和山城から、天秤櫓は長浜城から運んだと言い伝えられてきました。そのすべてが立証されているわけではないのですが、天守が大津城の部材で作られていることは立証されており、大津城より一回り小さな天守にまとめるため、上層と下層の床面積の差が大きな、変化のある天守となりました。何しろ天下普請でイチから築かれていますので、このお城には築城技術の粋が集められています。天秤櫓門に至るルートが特に秀逸で、門の手前の木橋を渡らないことには何も始まらないのに、登城者はまずこの橋を見上げる(または潜る)ところから始めさせられます。間道もあれば登り石垣もあり、三重(一部二重)の堀もほぼ完存しているなど、縄張りだけでも見どころ満載。改めて天守を眺めてみると、これでもかというくらいに入り組んだ屋根と、仏教寺院を思わせる優美な花頭窓を配した独特な作りです。日本に5つしかない国宝天守なのも納得。左右対称なようで左右対称でない天秤櫓や、天守とは真逆に全く装飾のない西の丸三重櫓等、建物もまた見どころ満載。築城400年記念マスコットの「ひこにゃん」は、いつも元気いっぱい愛嬌いっぱいに来場者を迎えてくれます。城主は最初から最後まで井伊氏一家のみ。異動の多い譜代の藩の中では異例なくらいの安定度ですが、徳川四天王の一角として常に先陣を走ってきた井伊家らしく、江戸時代を通じて京都と西国に睨みを効かせ続けることを義務付けられていたのでしょう(井伊直弼暗殺後、幕末には役に立たなくなってしまいましたが・・・)。

<2001.12.18記>
出張やらなにやらで、新幹線に乗って米原あたりを通過するたびに、首を伸ばしては小さく見えるお城を眺めたものでした。
今回訪ねたのが、実に22年ぶり。ずいぶん長い年月が経ったものだと思います。お城は今も昔も少しも変わらず美しく、このときは青空と紅葉のオマケまでつけて、一層美しい姿を披露してくれていました。
このお城、建物の美しさもさることながら、そこにかつて建物があったことを物語る礎石や瓦がいたるところに散乱していて、これだけの観光客を受け入れてもなお、「古城」の風格を保ち続けています。

<2010.2.11記>
思い返せば、2001年に文章を書いた時の撮影が、私にとって生まれて初めての「myデジカメ」体験でした。使い方もよくわからず、ただファインダーを覗き込んで撮影しただけだったのですが、これまで使っていた普通のカメラと比べると格段に軽いせいか、シャッターを押すたびにカメラ自体が大きく揺れて、ブレブレの写真ばかりが大量生産されたことを覚えています。そんな中で上の写真はまずまずのできばえと言えそうです。それはさておき、上の文章からはや10年近くが経過し、その間、一度も彦根城を訪ねる機会に恵まれません。かの有名な「ひこにゃん」にも、そういうわけでまだお目にかかっていません。ひこにゃんが元気な姿を見せてくれているうちに、ぜひとももう一度訪ねてみたいと思っています。

<2012.1.16記>
平日の訪問となったため、結局今回も「ひこにゃん」には会えませんでしたが、彦根に一泊した関係で、彦根城周辺の夜景を撮影することができました。翌日、佐和山城や小谷城を訪ねた後に彦根城に舞い戻ったため、閉館時刻ぎりぎりでの滑り込みとなり、駆け足での見学となりましたが、前回まで見損ねていた「登り石垣」などもしっかりと目に焼き付けることができました。旅程の関係でキャリーバッグを持ったままの移動となり、ふうふう言いながらの散策でしたけれども。
16:45に、城下の小学校の鐘が鳴り、続いて下校の音楽が流れてきました。この下校の音楽は私が通った小学校と同じもので、聴くだけでも郷愁を誘います。そこにもってきて、沈む夕陽。この日一日、曇りか小雪がちらつく天気だったのに、日没時だけ、西の空に雲の切れ間が出来ていて、そこから今まさに沈む夕陽が一瞬だけ顔を出して・・・旅の終わりに相応しい、いかにもノスタルジックな風景でした。

<2020.5.8記>
2020年の正月、100名城スタンプ2周目をやりつつの訪問は、「ひこにゃん」との出会いでもありました。数多の観客の中にあって「ひこにゃんカード」を頂くという幸運にも恵まれ、今年は良い年じゃ・・・と思ったものでしたが、少なくとも2020年5月8日現在、日本も世界もコロナウィルスで大変なことになっています。人混みの中でぴょんぴょんしながらひこにゃんを眺めることって、実は幸せだったんだなー、って今更ながらに思います。早くもとの世界に戻って、またひこにゃんに癒されたいと思います。
そういえば、ここ最近のテレビ番組で、私がTVチャンピオンで共演した方がお二人も、しかも別々に彦根城を訪問して見どころを紹介していらっしゃいました。いいなあ、と指をくわえて見ておりましたが、女性か子供でないとそういう役割は回ってこないんですよね。テレビ的に。あー、生まれるのが40年早かった(笑)。
Data
ランク 特別史跡、100名城、100選、百選、こんな城、滋賀県1位
天守(国宝、重文)、櫓(重文)、門(重文)、石垣、堀
創築:慶長8(1603)年、井伊直継
井伊氏(彦根藩、230000石)
彦根駅からまっすぐ1km、15分くらいの道のりです。車の場合、ひとつひとつの駐車場は大きくないのですが、沢山用意して頂いているので誘導されるがままに停められる駐車場に停めましょう。

彦根城フォトギャラリー





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