花園御岳城
はなぞのみたけじょう

(埼玉県大里郡寄居町)
最終更新日:2016.10.17

地図

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<2016.10.17記>
花園城の西隣にある山のてっぺんに、もうひとつの花園城が眠っています。麓にある少林寺というお寺に車を置かせて頂き、五百羅漢の並べられた道をとことこ登っていき、羅漢さんの道のてっぺんまで辿り着いたらそのまま尾根道を「左」に進み、円良田湖へと向かう道との分岐をまっすぐやり過ごし、もうひと登りしたところが花園御岳城。鳥居と、スリムすぎる狛犬が無言で迎えてくれることでしょう。
もとより見学者も滅多に訪れることのなさそうなお城ですが、昔から修験道の聖地であったらしく、主郭には梵字の刻まれた石板がずらっと並び、他にあまり例のない独特の雰囲気を醸し出しています。主郭の中心近くに、その板の「視線」が集まる「点」があるように感じられるのですが、感じやすい人はその「点」には立たない方がよいでしょう。いやほんとに。
このお城の見どころはそんな独特の雰囲気を持つ主郭ではなく、主郭から少し下った先。主郭を囲む横堀と、その下に更に広がる横堀と土塁の連続。
何重にも横堀を重ねて緩斜面を守るやり方は、この地域の在地勢力であった藤田氏に関連するといわれるお城に共通して見られる特徴です。花園城を見てからさらに花園御岳城にも登るのは少々骨が折れますが、できればセットで見ておくとよいお城だと思います。ただし、主郭の雰囲気にはくれぐれも気圧されないように。
Data
ランク -
土塁、堀
創築:不明、藤田氏
藤田氏
花園城の背後を守るような位置に存在する半独立丘の上に築かれたお城で、現在は御嶽神社の境内となっています。山腹に横堀を重ねる守り方は花園城とも共通する技法ですが、横堀ほどの技巧は見られず花園城よりはるかに小規模なので、花園城が本城、こちらが支城という形で同時期に存在したと見てまず間違いないと思います。実際、仮にここを占領されたら花園城とは目と鼻の先なので、敵に利用されないように花園城とワンセットで守っていたというのが実情なのではないかと推測しています。それなら「ここにも城があるから簡単には占領できないぞ」と下から見える程度に造作すればよいわけで、花園御岳城の簡素な縄張りはそうした目的にぴったり符号するように思います。





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