獅子城
ししがじょう



所在地:佐賀県唐津市厳木町岩屋
最終更新日:2023.4.18

<2015.7.23記>
全国的には無名ながら、素晴らしい石垣を秘めた山城が佐賀にある・・・という噂を聞きつけて、九州旅行の旅程に織り込みました。全行程中、カーナビにヒットする近隣施設が皆無というお城はここだけですが(笑)、厳木(きゅうらぎ)駅近くで県道32号線に入り、2キロほど入った右側に城への案内看板があるので、実際にはそれほど迷うことはありません。ただ訪ねた時が雨の中で、車酔いにも悩まされていた連れ合いを助手席に残しながらの城内探訪となったので、慌ただしい限りではありました。いつもこんな場所に付き合ってもらって、申し訳ないと思っています。。。
さてお城。
確かに石垣は素晴らしい!戦国時代の終わりに築かれた織豊系の石垣が、これほどまでに苔むして残っているお城もそうそうないでしょう。しかも本丸から三の丸まで、広大な城地のほとんどが石垣造り。これほどのお城があまり知られていないことに、驚きを禁じ得ません。
近隣にはもうひとつ、岸岳城という素晴らしいお城があるはずです。こちらもいつかは行ってみたいと思います。
獅子ヶ城、もともとは肥前松浦党の源披(みなもとのひらく)が12世紀に築いたのが始まりだそうですが、天文年間に同じ松浦党の鶴田氏が入ってからは松浦氏、大友氏、龍造寺氏の争奪戦の対象となり、あまたの戦に巻き込まれました。鶴田氏は波多氏、ついで後藤氏の旗下に入り、後藤氏は龍造寺氏から養子を貰って龍造寺氏一族となり、ついで鍋島一門として武雄鍋島氏の祖となってゆきます。その過程で鶴田氏もまた、鍋島氏に吸収されてゆくことになりました。
鶴田氏が去った後の獅子ヶ城には、唐津城に封じられた寺沢広高によって支城として取り上げられ、今に見る近世的な石垣が築かれ、織豊系城郭として生まれ変わりました。元和元(1615)年の一国一城令で獅子ヶ城は廃城となりますが、唐津藩では獅子ヶ城の近辺に「古城番」なる役割の武士を配し、こつこつとお城の管理をしていたようです。
お城は本丸、二の丸、三の丸を尾根上に配した連郭式のお城で、そのほとんどを石垣で固めています。石はもともとこの山が岩盤で出来ているので採石には事欠かず、そのためこれだけふんだんな石が用いられたもののようです。中には石垣の下が崩落してオーバーハングになっているような場所もあり、まるで鬼でも住んでいたかのような、独特の景観を作り出しています。苔むしていながら寸分の狂いもない石垣の連続に、お城好き・石垣好きなら息を飲むこと請け合いのお城です。

<2023.4.18記>
獅子城の最寄り駅はJR唐津線の厳木駅になります。「厳木(きゅうらぎ)」、読めませんよね。難読地名・難読駅名だとつくづく思います。獅子城に行く際には厳木駅が最適なランドマークだと思いますので、カーナビに入力する際の「カナ入力」で困らないよう、もう一回書きます。「きゅうらぎ」です(笑)。この厳木駅から3kmほど進んだ先に、獅子城が存在します。筆者は8年振り2度目の訪城でしたが、看板が若干苔むしたかなと思う以外には大きな変化はありませんでした。このお城の魅力は変な整備も行われず、ほぼ手つかずで残された石垣群にあるのですが、これらの石垣が綺麗に苔むしているのも大きな特徴です。看板も苔むしているところを見ると、苔が生育しやすい環境なんでしょうね。お城の建物があった時代にも、建物の維持が大変だったのではないかと思ってしまいます。木の生え方が違うので大丈夫だったのかもしれませんが、今の環境だと白壁の建物も5年くらいで緑色に変わってしまいそうな感じがします。お城があった時代はどうだったのでしょうね。
この獅子城、あまりにもいい風情なので、筆者は実は「続100名城」にも推薦していました。筆者に推薦の権利が与えられたのは30城で、そのうち24城が採用されているのですが、採用されなかった6城の中のひとつが獅子城でした。すぐ近くに唐津城(続100名城)もありますし、地理的にも唐津と獅子の2城が同時に選ばれことはないだろうなあとは思いつつ、この苔むした名城を世に知らしめたい一心で推薦してみた次第です。結果はもちろん落選でしたけれども。同じ九州で、屈指の激戦区となった大分県では角牟礼城が続100名城に選ばれているのですが、獅子城の方がよいお城なんじゃないかなー。。。なーんて(笑)。お城の良し悪し、好き嫌いはひとつのものさしでは測れないんですけどね。ま、それくらい筆者は獅子城をご贔屓にしているということだけでもわかって頂けたら、と思っています。
Data
ランク -
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創築:12世紀、源披  改築:慶長7(1602)年頃? 寺沢広高
源氏、鶴田氏、寺沢氏
唐津線厳木駅から県道を西に向かい、700mほど進んだ先の角を左折して県道32号線に入り、そこから2kmほど進むと右手に獅子城の案内板が現れます。そこを右折して山道をくねくね登って行くと駐車スペースに到着し、そこから2分ほど山道を登れば獅子城の中心部に辿り着けます。


獅子ヶ城フォトギャラリー






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