臼杵城
うすきじょう


所在地:大分県臼杵市臼杵丹生島
最終更新日:2019.6.2

<2016.3.30記>
子供の頃に読んでいたお城の本に載っていた臼杵城は、お城というより民家のような櫓がひとつふたつあるだけの、何とも言えない地味なお城のイメージしか持てないお城でした。それが、いつの間にか復元がじわじわと進み、「むき出しの岩肌に白壁」という、全国探してもここにしかない個性的な風貌を身にまとうエキゾチックなお城へと変貌しました。
山上は公園化が著しいのですが、本丸と二の丸を画する近世的な堀や巨大な天守台を見るにつけ、このお城がいかに手間暇をかけて築かれたかということを感じ取ることができ、山上に建物が立ち並んでいた時にはさぞ壮観であったことだろう・・・とつくづく思いました。
くだんの「民家のような櫓」のひとつは今もそのままの姿を残しています。海側に立つ、卯寅口門脇櫓。見た目は確かに民家みたいなんですが、櫓の立つ場所は門を真下に見下ろす崖の上。なるほどこの立地なら十分に睨みを利かせることができます。お城の建物は形ではなく、その立地にこそ深い意味があるものですよね。
大門櫓という、櫓だか門だかわからないような名前の門の側に戻り、駐車場へと足を運ぶ途中で、夕涼みがてらに水風船を投げ合う高校生の一団が見えました。
きゃあきゃあ、わいわい。
いいなあ。若いって・・・(笑)
臼杵城を大々的に築いたのは大友宗麟です。通説では永禄5(1562)年の築城となっていますが、実際には前身となるお城があったようですし、宗麟が臼杵に居住したのがもっと前であるとの説も存在するので、遅くとも永禄5年には臼杵城が存在していたという程度のこと以上は不明としておきましょう。臼杵城が一躍脚光を浴びるのは天正14(1586)年の島津氏侵攻の時のこと。臼杵城を守った宗麟は「国崩し」と呼ばれる大砲を用いて島津軍を撃退します。大砲が実戦に用いられ、しかも一定の効果を上げたのは日本初とも言われています。
大友氏が改易となった後は豊臣秀吉の臣・太田一吉が臼杵城を近世城郭へと改築し、関ヶ原の戦いの後に稲葉貞通が5万石で臼杵に入ってからは、明治までそのまま稲葉氏が在城しました。
お城のある山はもともと「丹生島」という島で、丹生島城という別名は島の名前をそのまま用いたものです。臼杵城として使われ始めた頃は大門櫓が向いている西側、すなわち今橋・古橋口の一方だけが陸続きで、三方を海に囲まれた要害でした。山上は現在平地になっていますが、宗麟の時代から躍起になって平らに削ったのだとか。堀切によって本丸と二の丸とに分けられ、堀に面して三層の天守が聳えていました。櫓は細かいものまで含めれば31基を数えたそうですから、お城の規模の割には沢山の建物が林立していた様子が窺えます。平成19年には発掘調査が実施され、埋もれていた天守台が検出されました。また、畳櫓(現存)を囲む近辺一帯が、冒頭に述べた通り大門櫓や塀を含めて復元されたことで、城下町から見たお城の姿がとっても見栄えのよいものに変わっています。

<2019.6.2記>
近年の急速な復元整備活動の成果か、臼杵城はめでたく続100名城に選ばれました。大分県は何しろ近世城郭の宝庫なので、同じように復元整備活動が盛んに行われている日出城などは続100名城の選にも漏れてしまっています。改めて大分県の激戦ぶりを実感するとともに、臼杵城の価値が世の中に認められた証なんだろうな、としみじみ実感しています(個人的には日出城も十分に100名城の価値があるお城だと思っていますけれども)。
2度目の訪問で初めて気づいたのが、城下からよく見える位置に築かれた高石垣。前回はあまりにも立派すぎて、ちらっと見ただけで近代の擁壁だと思い込んでしまっていたのですが、改めて見てみるとどう見てもお城の石垣でした。フォトギャラリーの最後の一枚がそれですが、結構な高さがありますね。威圧感も相当なものがあったと思います。
このときは、城下町も少し散策してみました。観光客がどどっと押し寄せるほどでもない(でもそこそこいる)城下町というのは落ち着いた風情があって、実によいものですね。主だったところをさらっと見るだけなら30分くらいで済みますので、城下にも足を運んでみることをお勧めします。
Data
ランク 続100名城、大分県4位
櫓(現存)、門(復元)、塀、石垣、堀
創築:永禄5(1562)年、大友宗麟、改築:慶長2(1597)年、太田一吉
大友氏、太田氏、稲葉氏(臼杵藩、50000石)
臼杵の駅からまっすぐ歩くと、丹生島の東側(かつての海側)に出ます。ここから卯寅口門脇櫓へと上がってもよいですが、ぐるっと西側に回って、下から大門櫓を見上げながら登城した方がより雰囲気が味わえると思います。
車なら西側に大きな駐車場があります。続100名城スタンプは、駐車場に隣接した観光情報協会に設置されています。


臼杵城フォトギャラリー






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