雨滝城
あめたきじょう



所在地:香川県さぬき市津田町津田
最終更新日:2020.5.23

安富氏の本拠地です。安富氏は鎌倉時代から奉行人を務めていたことが史実にも記される古い家柄で、室町時代に細川氏に従って讃岐の地に移動してきました。雨滝城はその時から安富氏の本城として使用されていたようで、現在城跡に残る石垣や礎石建物から推測するに、山頂の主郭を中心に恒久的な建物が数多く建てられ、実際にこの山頂で居住する生活を送っていたのでしょう。
安富氏は一貫して細川氏に仕え、細川氏の勢力を簒奪した三好氏とも相応の繋がりを保ったようですが、細川・三好の勢力が衰えるとともに安富氏も弱体化し、最後は長宗我部元親に攻められて雨滝城も没落します。その後、讃岐の安富氏は全く史上から姿を消してしまいますので、本当に没落してしまったのでしょう。

<2017.2.7記>
雨滝城に向かうため、最初は「アルファ津田カントリー倶楽部」のある側(西側)の林道を登っていきました。と、林道が草ぼうぼうになり自動車での進入はムリな状態になり。引き返す術もないため、そのままバックで1km以上、元来た道を引き返し(笑)。
ならばと東側の「自然科学館」のある側から再トライするも、やっぱり草ぼうぼうで引き返し。
もちろん麓の駐車場に車を停めて、草ぼうぼうの林道を歩いて行けばいずれは登山道の入り口へと辿り着くのですが、この時はどうしてもそこまで歩く気になれず。これだけ歩く気にならないということは、きっと何かが「行くな」と言ってるのだろうと都合よく解釈して、この日の登城を断念するに至りました。礎石建造物、見てみたかったんですけどねぇ。

<2020.5.23記>
念願かなって、オフ会でわいわい雨滝城を訪ねる機会に恵まれました。前回断念した坂をレンタカーでぐいぐい進んでいくと、今回は草も刈られていて登城口にもすんなり辿り着けました。してみると、前回はいかにも時期が悪かったということだったのかもしれません。前回は6月、今回は1月。うーん。このお城は冬限定なのかもしれません。
このお城は、かつて公園として一度整備されながら、再び草に埋もれてしまいました。登り始めて最初に現れる土塁と堀のセットは恐らく大手門なんですが、今の遊歩道はどこか不自然です。土塁の左側を探ってみると一部に石垣が施され、遊歩道のある右側ではなく左側に開口しているのがわかります。かつての登城路は一度左に振った後、右から回り込むように進入していたようで、そう考えるとこの場所に設けられているちょっとした空間は枡形だと解釈してよさそうです。ここから先が、いわゆる城内なのでしょう。
城内の曲輪は枯葉に埋もれているので礎石のありなしが十分に確認できませんでしたが、瓦だけはばらばら落ちています。残念ながら私は瓦の編年ができるほどの知識がないため何とも言えないのですが、この瓦は少なくとも安富氏の時代(天正年間)のものではなさそうに見えました(後世にお寺でも建ったのかなあ・・・)。ただ礎石建物は城内のあちこちから検出されているそうなので、瓦はともかく礎石建物の多くは安富氏の時代に遡るものと考えてよいのでしょう。なにしろ安富氏は讃岐の実力者ですから、しっかりした建物をいっぱい建てて、この山の上でそれなりに優雅に暮らしていたのでしょう。
散策していたら、ほぼ自然に還ったベンチがありました。眺望も失われ、ベンチには蔦が垂れ下がり、そもそもベンチのある場所に登る道が失われています(汗)。振り返れば今来た道は薮をかき分けてきたにもかかわらず不自然に広く、かつて公園として整備された時の遊歩道であることに気付きました。公園化にあたってどれほどの地形改変が行われたのかはわかりませんが、遊歩道をこしらえる時点でかつての城道の拡幅工事が行われ、その結果として虎口などの構造が損なわれてしまったの可能性があります。なので、最初に見た大手門のところも、やっぱり改変されてしまった可能性が多分にありそうです。
それにしても城内が全体に荒れた感じなのはとっても残念です。せっかく発掘調査までやって公園にしたのに、きっと整備した頃には来訪者もほとんどなく、公園として維持管理するモチベーションを失ってしまったのでしょう。今のような山城ブームであれば、十分に人が集められそうなお城なんですけどねえ。
Data
ランク 香川県5位
石垣、土塁、堀
創築:長禄年間(1457〜1460)年、安富盛長
安富氏、六車氏
車なら雨滝自然科学館を目指しましょう。科学館に辿り着いたら、山道をそのまま車で進むと、ヘアピンカーブのところに四阿があって、雨滝城への階段が現れます。車は四阿の前に1、2台なら停めることができます。四阿は階段の反対側になりますが、四阿の先にも堀切がありますのでご確認ください。


雨滝城フォトギャラリー






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