木原城
きはらじょう



所在地:茨城県稲敷郡美浦村木原
最終更新日:2022.4.18

   
<2014.4.4記(2022.4.18改)>
大きな大きなお城です。木原小学校を目指して車を走らせると、学校の裏に回った時点で自動的にお城の中に入れます。本丸まで車で入れてしまいますが、大規模な堀と土塁を実感するためには本丸虎口前の二の丸の駐車場に車を停めることをお勧め。
初めて訪ねた時は本丸に植えられたチューリップが芽を出したばかりでしたが、それから2週間ほど経って改めて訪ねた際には、チューリップがもう満開で。近くの幼稚園の遠足だったのでしょうか。園児たちがきゃあきゃあと本丸内を走り回っていました。その園児の一人一人に目いっぱい、
「こ〜んに〜ちは〜(^O^)」
と言われ、こりゃたまらんと本丸を逃げ出したのでした。ある意味、最強の籠城方法です。
木原城は実に大きなお城でありながら、その歴史はよくわかりません。史実としてはこの地域は土岐氏の被官となった近藤氏の支配地であり、木原城近隣(かつては城内)の永厳寺には近藤氏のものと伝わるお墓もあります・・・が、土岐氏の一被官のお城というにはお城の規模があまりにも大きすぎ、土岐氏のお城だと考えてもなお大きすぎるとの指摘があります。
この地域は戦国末期になると佐竹氏から見た後北条氏の最前線といった位置付けになるので、後北条氏によって大々的な改修がなされたとの見方もあります。ただ同時期の後北条氏のお城と比べると、堀の平面プランなどがちょっと丸すぎるかなあとも思ってみたり。
お城は台地先端の本丸を半円状に囲みながら二の丸、三の丸と展開し、その更に外側を堅固な二重堀で囲む堅城です。東西500m、南北はおよそ1kmほどになるでしょうか。公園化されている場所は本丸と二の丸までで、三の丸に木原小学校がある格好になりますが、木原小学校から道路を越えた先の山の中もまだお城の中で、近藤氏の墓のある永厳寺の南から堀跡とおぼしきものを辿ってゆくと、畝堀やら二重堀やらといった、とんでもない遺構が山の中に眠っています。一体誰がこれだけの規模のお城を必要としたのでしょう。想像ばかりが広がるお城です。

<2022.4.18記>
久しぶりにオフ会で訪ねた木原城は、相変わらず巨大なお城でした。お城自体が大きくなったり小さくなったりするわけないのですが、いろんなお城を眺めて回って久しぶりに木原城に戻ってみると、相変わらずというよりむしろいっそう大きくなっているような(笑)。古代の環濠集落が本丸跡から検出されているのですが、本丸はその環濠を二回り以上も大きく囲んでいます。普通の学校の敷地がグラウンドから校舎からまるごとひとつ入るサイズ。団地が作れそうなサイズとも言えます。本当にどうやってこのお城を使ったのでしょう?
後北条氏による兵站基地という考え方がひとまず普通に考え付くわけですが、ここでもうひとつの大きな仮説を。実は茨城県内にはやたらと面積の大きなお城が沢山あります。土浦城も充分に大きいですし、小田城もしかり。土浦城と小田城の間にあった藤沢城はかなり原形を損ねていますが、これまた恐ろしく平面積が大きなお城です。知る人ぞ知る小幡城も、よく知られた迷路状のエリアの外側にやたらと大きな外郭を持っています。額田城や石神城も無駄に大きい部類に入りますね。これらのお城を守るための兵員数を想定すると、いずれも相当数の兵力を必要とします。どう見てもそれだけの兵がこのお城を守ったとは思えませんので、これらのお城はいわゆる「村の城」を兼ねていて、有事の際に領民まるごと守るための面積が用意されているのではないか、という考え方は成り立たないでしょうか。
小田城の小田氏治は弱いくせに領民に愛された武将でした。彼が最後に居城としていた藤沢城に異様に広い外郭があります。小田城を奪われてもなお、領民を守るための外郭を備えたお城を設けていることに人気の源があるとすれば、この地域の武将と領民との関係は、身体を張って自らの城に領民を取り込めるかどうかの度量によって試されていたのではないか、との推測も成り立ちそうな気がします。木原城のエリアは大きく見れば美濃守護系の土岐氏の領域。決して弱い一族ではない土岐氏が自らの基盤における領民保護の意志を示すために木原城を築いたとすれば、それはそれで筋は通るような気はします。もっとも実際にそういう考え方があるのであれば、この地域にそれを裏付ける伝承のひとつやふたつ残っていてもおかしくないと思いますので、根拠に乏しい話ではあるのですが(笑)。
ランク 茨城県2位
土塁、堀
創築:永正元(1504)年、近藤氏元 改築:永禄5(1562)年、土岐治美?
近藤氏、土岐氏
アクセス 美浦村立木原小学校を目指します。小学校をすり抜けた先に大きな畑があって、その先に巨大な土塁が目に入ってきます。駐車場は土塁の手前(二の丸)にもありますし土塁の奥(本丸)にもありますが、二の丸から歩いて本丸に入った方が巨大さを実感できます。


木原城フォトギャラリー





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