沼田城
ぬまたじょう



所在地:群馬県沼田市西倉内町
最終更新日:2018.8.15

   
<2013.10.23記>
沼田城で最初に思い浮かぶのは、「天狗の面」。どういう由来があるのかも全く覚えていないのに、学生の頃に訪ねた沼田城は、「天狗の面」の記憶ばかりが鮮烈でした。
2012年の夏に改めて沼田城を訪れましたが、記憶再現モードを最大にしてみても、頭に浮かぶのはやはり「天狗の面」ばかり。真っ平らな公園として整備された中に、ほんのわずかな石垣を残すばかりのこのお城は、華々しい歴史を有しているが故に、却って殺風景に映るのかもしれません。。
沼田はもともとは土豪・沼田氏の支配領域でしたが、信州にも越後にも近いという立地上、上杉、武田、北条とその間をくるくる動く真田による争奪戦の中心となり、沼田が動くと有力大名の支配領域が大きく変わるという、非常に重要な場所として認識されました。可哀相なのはもともとの城主・沼田氏で、築城者沼田顕泰の息子・沼田景義(平八郎)が近隣の由良氏等の力を借りてこのお城の奪還に向かいますが、真田昌幸の謀略にあって、沼田城内で殺害されます。景義、相手が悪かったか・・・。後北条の支配下にあった時代、このお城の城代・猪俣邦憲が目と鼻の先にある名胡桃城を真田氏から奪取し、これが豊臣秀吉の怒りを買って小田原の役のきっかけを作っています。これだけ歴史の表舞台にちょいちょい顔を出すお城も珍しいでしょう。
豊臣、徳川の時代にあって、沼田には真田氏がしがみつきます。信州上田(後に松代)のほか、沼田をも手中にするあたり、さすが真田氏といったところでしょうか。真田信幸が沼田に入った慶長2(1592)年、沼田城は近世城郭として大々的に築城されます。高石垣と五層天守、それも金箔瓦の使用を許されたものだったそうですから、さぞ壮麗だったことでしょう。信越地方で五層の天守を持っていたのはここ沼田と、現存する松本城だけだったとか。
沼田藩の真田氏は、天和元(1681)年に改易となりました。大城郭であった沼田城も破却され、およそ90年の歴史に幕を閉じます。その後暫くの空白期間を経て、本多氏、黒田氏、土岐氏が3万石前後の小藩の藩主として沼田に着任し、土岐氏の時代に明治維新を迎えます。この時代、広大な沼田城の旧城地のうち、三の丸あたりに陣屋みたいなものを作って過ごしていたらしく、このあたりも沼田城の「まぼろし感」をより強めているのかもしれません。
現在は本丸と古丸のあたりの平場から、かつてのお城の規模を想像してみる他にはありません。天守跡に立って天守台と五層の天守を想像するのはかなりの想像力を必要とします。駐車場のあたりに旧三の丸の土塁がほんの少し残っている他、テニスコートの脇の池に、数段ではあるもののお城らしい石垣が積まれているのがわかります。池はもともと堀の一部で、実はこのあたりが最もお城らしさを残しているらしい・・・です。

<2017.10.4記>
上の文章を書いてからほんの4年ですが、大河ドラマで「真田丸」が放映された影響か、そもそもの戦国ブームの延長線なのか、沼田城への注目度は急速に高まりました。極めつけは2017年に選定された「続日本100名城」。これに沼田城が選ばれたことで、お城を見るために沼田を訪ねる人は劇的に増加することでしょう。現地はお城らしくないんですけどね。
ちなみに天守台伝承地の発掘調査も行われました。伝えられる通りの高石垣があったのかどうかを検証する目的だったのですが、明確な石垣の痕跡は検出できなかったようです。2017年の4月に訪れた際には(桜が満開でそれはそれは素晴らしい光景でしたが)石垣を探したトレンチの跡だけがむなしく凹みとなって残っていました。

<2018.8.15記>
祝!続100名城指定ということで、改めて沼田城を訪ねてみました。4回目の沼田城は相変わらず表面上はただの公園にしか見えないのですが、目が慣れて来たせいかあちこちにお城の痕跡を見つけることができて、まるで宝探しのような楽しみがあることがわかりました。4回目にして初めて見つけた石垣もありましたし(まあ、単に私の観察力がないだけなのですが(笑))。それにしても沼田城は花が綺麗です。前回は桜、今回はツツジがこれでもか!というくらいに咲き誇っていました。
ランク 続100名城
門(移築)、石垣、土塁、堀
創築:天文元(1532)年、沼田顕泰、改築:慶長2(1592)年、真田信幸
沼田氏、猪俣氏、真田氏、本多氏、黒田氏、土岐氏(沼田藩、35000石)
アクセス 国道120号線で沼田市街に入り、「公園入口」の交差点を北に向かって進めば、やがて沼田城の公園駐車場に辿り着きます。沼田城は人気化していますがそこそこ大きな駐車場がありますので、よほどのイベント日に当たらない限りは駐車可能でしょう。


沼田城フォトギャラリー





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