玄蕃尾城
げんばおじょう



所在地:福井県敦賀市刀根、滋賀県長浜市余呉町柳ヶ瀬
最終更新日:2024.2.22
<2016.1.24記>
玄蕃尾城に行くためには、北国街道(国道365号線)から分かれた県道140号線の、柳ケ瀬トンネルの西側にある交差点を北側(敦賀に向かって右、長浜に向かって左)に折れ、橋を渡ってひたすら道なりに進み、行き止まりに車を停めて山道を登ることになります。行き止まりには十分な駐車スペースもあり、トイレもあります。
・・・と、ここまでは理解していたので比較的迷わずに行けたのですが、山道に入ってからの距離感を理解していなかったので、玄蕃尾城までがとんでもなく長い道のりに感じました。降りしきる雨は止む気配もなく、ただひたすらに黙々と歩き続けること20分。もしかしたら道が違っているのではないかとすら思った頃に、漸く看板らしきものが出てきました。
陣城ということは、陣城のエリアだけをとにかく堅固に作るということで、周辺に緩斜面があっても決して精緻に手を加えることはないのだということを知ることとなりました。振り返れば玄蕃尾城と同じ高さの尾根道を、ひたすら水平に歩いてきただけなのですが、唐突に、実に唐突に技巧的な曲輪群が展開されます。
ひとたび城域に入った途端、その技巧に舌を巻きます。これはすごい。一時期に作られ、使われ、そして破棄されたお城ならではの、統一感みたいなものも感じます。
すっかり満足しながら雨中の見学を済ませる間、当然にこんなお天気なので誰にも会うことはなかったのですが、主郭辺りで赤いTシャツの男の人が、ビニール傘を差して立っていました。お互いにあいまいな会釈をしてその場は立ち去ったのですが、この男の人に再び出会うことはありませんでした。思えば駐車場にあったのは私の車ばかりでもあり、あの男の人は本当にあそこにいたのかどうか、はたまた私は幻を見ただけなのか、今となっては検証することすらできません(伊東潤さんには「それは幽霊です」と断言されましたが・・)。
羽柴秀吉が柴田勝家と激しく争った賤ヶ岳の戦いは、直接的な戦闘こそ短期間で終結しましたが、その実態は双方が近江・若狭の国境の山岳地帯に陣城群を築いて睨み合った、いわば我慢比べのような戦いでした。そんな中で最も堅固につくられたのが、柴田勝家側の玄蕃尾城。このどっしりした造りを見る限り、柴田勝家は相当どっしりと腰を落ち着けて、羽柴秀吉の自滅を待とうという戦略だったのであろうことが推察できます。戦の趨勢を見る限りはその逆の結果となり、柴田側の佐久間玄蕃盛政が結果として猛進し、まんまと秀吉の術中にはまることとなるわけですが。

<2024.2.22記>
初めて訪れた日が雨の中で、しかも赤いTシャツ姿の男の人が現れて消えたという不可思議な現象を目の当たりにしたせいもあって、以後訪れる意欲すら失っていた玄蕃尾城ですが、静岡古城研究会の見学会で立ち寄って下さるというので、それなら大丈夫かと喜んで参加しました。ところがバスは道を間違えるわ、やっぱり雨は降ってくるわで登る前から心が折れそうになった筆者でしたが、意図せず余呉町側から「刀根越」で玄蕃尾城に挑むことになった古城研の面々は「このルートの方がむしろ賤ヶ岳の戦い当時の様相に近いんじゃないか」と、どこまでも前向きで(笑)。仕方がないので雨の中を歩き始めました。早速現れた看板には「倉坂峠まで1,700mですけど^?^」的な文字が。笑うなー!(笑)
この「ですけど」看板がいい感じに設置されていることに加え、何よりこの刀根越の道がとってもなだらかで幅もあって歩きやすくて、確かに1,700mを歩かされたもののそれほどの負担を感じることなく峠まで辿り着くことができました。ま、ここから玄蕃尾城までがまた遠いのですが(笑)。
二度目に訪れた玄蕃尾城は、雨ということもあって初めて訪れた時の姿と少しも変わらずそこにありました。雨の中で、ちょっと霧がかかっているくらいの姿の方が格段と美しく見えるお城ではあるのですが、足元が滑るのなんの。古城研の猛者たちも何人か坂道を滑り落ちていましたね。玄蕃尾城は現代の世にあっても難攻不落の名城でした。
Data
ランク 国史跡、続100名城、100選、こんな城、滋賀県5位
土塁、堀
創築:天正11(1583)年、柴田勝家
柴田氏
県道140号線の柳ヶ瀬トンネル(これが実に難儀な一車線トンネルなのですが)の西側出入口のすぐ脇にある脇道を入って山道を進めば、やがて玄蕃尾城の駐車場へと行き当たります。そこからちょっと山道に入って、峠から玄蕃尾城への道を進めば一本道で辿り着けますが、峠からが案外長いので心を折らないようにお気をつけください。続100名城スタンプは4〜11月には駐車場の受付ポストに設置されていますが、冬季は敦賀市役所3階文化振興課に移設されています。また、JR北陸本線の余呉駅にも設置されています。

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