佐倉城
さくらじょう



所在地:千葉県佐倉市城内町
最終更新日:2017.8.26

   
<2001.9.2記(2018.8.26一部修正)>
本佐倉城に本拠を構えた千葉氏によって、16世紀の中頃には城郭が構えられていたと言われますが、本格的な築城は土井利勝が佐倉藩主になった時です。この時、徳川家康とともに城地の選定を行ったとも言われており、旧・佐倉城の本丸と二の丸をくっつけて現在の本丸を構築する等、大規模かつ政策的な築城であったようです。その後、幕府の要職を占める譜代の大物大名が入れ替わり立ち代り佐倉藩主になり、明治を迎えますが、廃城に伴って建物は全て取り壊され、陸軍によって堀の多くが埋められました。
建築物は残っていませんが、古写真によって堂々たる櫓門が随所に構えられていたことが知られます。また、明治の廃城時まで本丸に存在していた「銅櫓」は、太田道灌時代の江戸城の「静勝軒」という建物を移築したものだったとか。この言い伝えが本当で、廃城時に取り壊しさえしなければ、間違いなく国宝だったのではないでしょうか。
このお城の見所は、歴史博物館の前の「角馬出」と、城郭の北と西に突き出た二つの出丸。いずれも近世城郭として発達しきった姿を今に伝えています(角馬出は復元で、実際の堀よりもかなり緩やかな傾斜になっているそうですが)。
このお城は、権勢絶大だった幕閣によって支配されたばかりでなく、一揆騒動などでヤリ玉にあがったりと、住民にとって決して好ましい存在だったとも思えないのですが、このお城は陸軍によって改変されたところを除けば今でもほぼ全盛時の縄張りを辿ることができます。関東では川越城や岩槻城のように明治まで藩庁として使用された大型の「土の城」が潰滅的と呼べるほどの破壊を受けているのに比べれば、珍しい例と言えるのではないでしょうか。
この場所には、ちょっとした思い入れが二重、三重に重なっていて、早めに行かないと行かれなくなりそうだったので、ちょっと無理な日程でしたが行ってみることにしました。そのあたりは、書ける心境になったら「随筆(のようなもの)」ででも書きます。展開は大体こんな感じ。
「このお城の山の中に入ると、思い思いの方向に枝を伸ばして、何百年もの時を経てきた巨木がいたるところにあることに気づかされます。そのせいか、他のどのお城よりも、『一人』だということを強烈に実感させられます。」

<2010.2.14記>
佐倉城は、好きな人と訪れた場所としての印象が非常に強く、一人になったと感じるとまた訪れる場所でもあったようです。2001年当時の文章を見ていてもそんな感じの弱々しい感じが伝わってきます。私にとっての佐倉城は、今でもどうやらそういう思い出がぎゅうぎゅうと詰まってして、そのせいか、未だにきちんと写真を撮っていません。

<2018.8.26記>
2001年というと、「城をやる」がまだ「城をやる」でもなかった、前身サイト時代の文章ですね。今見るとなんともお恥ずかしい限り。その後、何回か佐倉城を訪れているうちに過去のことなどすっかり忘れてしまいました(上の文章を見て思い出しましたが)。長いことお城をやってきて、お城を見慣れた目で見ると、本丸を巡る堀の深さと大きさは出色だということがわかります。これが近世のお城、それも幕閣クラスのお城の実力ですね。改めて佐倉城の格の高さを思い知らされます。
100名城のスタンプ押し直しで訪れた今回、初めて城下町も歩いてみました。佐倉城は往時の城域をほぼすべて残しているだけでなく、城下町に武家屋敷も何棟か残しているんですね。首都圏に残る城下町と武家屋敷。それだけでもまた佐倉の価値が再上昇したような気がします。特に「ひよどり坂」のあたりは、江戸時代から現代までほとんど変わっていないのではないでしょうか。この坂を下って上って、せっせと佐倉城に出仕した下級武士たちが、今すぐにでも現れてきそうな風情です。何の変哲もない坂ではありますが、佐倉にお越しの際にはぜひお立ち寄り頂ければと。
ランク 市史跡、100名城、百選、千葉県1位
門(移築)、土塁、堀
慶長16(1611)年、土井利勝
松平氏、土井氏、石川氏、松平(形原)氏、堀田氏、松平(大給)氏、大久保氏、戸田氏、稲葉氏、松平(大給)氏、堀田氏(佐倉藩、110000石)
アクセス  京成佐倉駅から歩いて10分くらい、JR佐倉駅からだと城下町経由で30分くらいかかります。手軽なのは京成佐倉駅からですし、車でも京成佐倉側から国立歴史民俗博物館の駐車場が使えますが、風情があるのは城下町側からの道。城下町からひよどり坂を下りてもう一度坂を登り、三の丸をまっすぐ突っ切って二の丸に至る道筋は少々長めですが、佐倉城=民博のイメージを払拭するためにもこちら側からの探訪をお勧めします。
100名城スタンプが民博ではなく三の丸の管理事務所に置かれているのも、佐倉市のちょっとしたこだわりなのではないかと思います(民博から管理事務所まではそこそこ歩きますので、民博側からお越しの際はご注意下さい)。 


佐倉城フォトギャラリー






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