岡本城
おかもとじょう

(千葉県南房総市)
最終更新日:2013.1.6



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<2013.1.6記>
2011年の秋、岡本城と稲村城という、房総半島の二つの城郭が国の史跡に指定されるというニュースを見て、「それは見てみなければ」ということで、お城仲間を募って見学に行きました。房総のお城に詳しい仲間に案内を乞いながら、海を見下ろす坂道を上がっていくと、間もなくこの地域のお城の特徴である、切り通しのような道が現れます。岩盤を垂直に削って、曲輪と曲輪を仕切ってみたり、城壁をこしらえてみたり、道路をこしらえてみたり、城内の至る所が「切り通し」。これまであまり見たことがない構造のお城を目の当たりにして、いわゆる「里見系」とでも呼ぶべきお城の類型が厳然と存在することを実感するとともに、このお城の価値をしっかりと認め、国の史跡として認定するに至った識者の皆様の卓見に、僭越ながら頭の下がる思いをしました。
谷側に行くと、小さな四角い池に行き当たりました。聞くところによれば、こういう四角い池の存在自体も、里見氏関連のお城にはよく見られるのだとか。写真を撮ったら、案内して下さった方が、このお城を撮影した人が祟りで云々・・・みたいな話をしてくれたので、このサイトにも池の写真は出していません(笑)。
Data
ランク -
石垣、土塁、堀
創築:不明・岡本氏、改築:元亀元(1570)年、里見義弘
岡本氏、里見氏
在地土豪の岡本氏の居城だったものを、元亀元(1570)年に里見義弘が接収し、義弘の子・頼義が在住して以降、里見氏の本城が館山城に移るまで、事実上里見氏の本拠地として機能していたと伝えられます。里見義弘の死後、お家騒動なんぞもいろいろあってすっかり勢力が減退した時代の本城だからか、そもそも里見氏のお城がこういう構造なのか、戦国末期のお城でありながら枡形などの技巧的な構造はあまり見られません。その代わりにこのお城を特徴づけているものが、岩盤を切り通して築かれた通路や、岩盤を両側から削り残すことによって築かれた城壁などの構造物。これらの特徴が評価され、2011年の秋には国指定の史跡として文化庁に答申されています。
お城は現在、琵琶畑等になっていますが、国史跡指定を受け、これから少しずつ整備が進むことが期待されます。





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